RAWイメージング。

実は全部JPEG撮って出し。

山は楽しいばっかではないのだ。


↑真夏の雷鳥沢(富山の立山)

表記の通り、山の怖い一面に目をそむけてはいけない。

去年の南アルプス鳳凰三山縦走の失敗が軽くトラウマになって、しばらく山から心が遠のいていた。
今年ようやく秩父の縦走が成功して、少し戻ってきたので書きます。
大した話じゃないけど、失敗話ちょっときいてよ。


南アルプス縦走を考えた。北岳〜農鳥はやったから、今度は仙丈、甲斐駒、鳳凰だな。
あそこらは交通アクセスが良くないから、なるたけ多く回ろう。そんなコンセプトの計画だった。
初日の早朝 長衛小屋(約2000m)から仙丈ヶ岳(3032m)を登って、なかなかいい朝日にめぐり合えた。

今回もうまくいきそうだな、と思って長衛小屋に下山。そこから向かいの甲斐駒ケ岳(2967m)を目指していたら右膝の裏が痛くなった。
途中の駒津峰(2740m)まで何とか登ったが、先に進むと、「山の行動は15:00まで」と言う鉄則が守れないし、何より痛みで行動不能になることが怖かったので、諦めて長衛小屋に引き返した。その時は寝れば直るだろ、と思っていた。

次の日から鳳凰三山(2764m 2840m 2780m )に縦走に入るため、栗沢山(2714m)に入ったが、2600m地点で右足が上がらなくなってしまった。
まずい、このまま稜線に入ってしまったら逃げ道がなくなる。よって下山を覚悟、着地すると激痛が走る右足を引きずって、たまに尻もちをつきながらなんとか引き返してきたのだ。
昨日まで優しく迎えてくれた(と思い込んでいた)山が一転、「容赦を知らない残虐非道な得体の知れないもの」となって、自分を追い返している気がして、怖くて仕方なかった。下山と言うよりは、逃げる、という精神状態に近い。

何が失敗か考えなおしてみよう。
・実は地図上の駒津峰を甲斐駒ケ岳と勘違いして行程を組んでいた。
行動表を見返してみると、明らかにコースタイムが短かく、駒津峰までの往復しか計算されていなかった。なにやってんだ。

・累積標高が大きすぎる。
登った標高の合計は約+1700m、下った標高の合計も約-1700m、縦走じゃなくて、2山登り返しなのできつかった。
レーニングも怠ってて、1ヶ月半何もしてなかった状態でこれをやったから膝が壊れたのは無理もない。

・この1ヶ月半前に立山縦走に成功して気分が大きくなっていた。
うぬぼれ。

この失敗で累積標高の考え方を知り、自力で逃げれない恐怖、を覚えたのでした。

よく、「山を舐めるな」って山を登ってない人が言うんだけど、どうもその言葉を紐解くと、装備品の話ばっかりに目が行っている節があるように思う。わかりやすく言うと「山を舐めるな=ゴアテックス」。こんな内容が多い。

いつか書こうと思っていた「山を舐めるな」の意味。まだ模索中でありますが、山が怖いと思えた今の自分にはちょっとわかった気がします。
60kgの男があんな巨大で広大な山に勝てるはずがない。そんな勝ち目のない山にちょっとお邪魔するための心構えが、「山を舐めるな」なんじゃなかと思うわけです。
計画、準備、天候。これが完璧でも安心はできませんよ。向こうがこっちを殺そうとしたら、文字通り「あっ」と言う間でしょうから。


写真を見て思ったよ、やっぱり甲斐駒に登りたかった…