RAWイメージング。

実は全部JPEG撮って出し。

秋葉原探訪。


K2DMDを保護してきた帰り、修理の補材を買いに秋葉原に行ってきた話。
メイドがひしめく一大商業地帯。
満面の笑みのアニメの顔に常に見下される場所。
だけど今日は薄暗い電気街の話。


曽根電機の主人の話を思いだした。
秋葉原はつまらない場所になった。」
昔に比べると「電気街」はかなり縮小したらしい。
とはいえ、一歩奥に踏み込めばえらいディープな世界だ。


私は文房具屋が大好きだ。
カラフルに陳列されたファイルを見ていると時間を忘れてしまう。
「どの色がいいかな」と考えるものの結局買わないことが多い。
わくわくするのはファイルが欲しいからじゃなくて、カラフルな機能部品に囲まれるその空間が好きなだけなんだなと思う。
こんなセンサーをお持ちの方は秋葉原の電気街をきっと気に入ってくれるだろう。
露天の陳列が見事だ。
表紙の写真はその一部。(たぶん)コンデンサ類がこんなにきれいに並べられている。
もちろん買わない。


この街は工作に特化している。ベークライトの板から謎の電気機器の筺体、計測器のマイクロメーターまで。
要もないのに買ったシックネスゲージ。

昔のタバコ屋とか八百屋が電気部品を売っているイメージ。
カウンターに並んだ部品を奥のじいさんに勘定してもらう。
かっこいいじいさんが多かった。みんなその道のプロだ。
お店の名前は忘れたけど、カウンターの電圧計の配列がカッコよいお店で「写真を撮ってもいいですか」と尋ねた。
「すいません、この区画はだめなんですよ」とかえされてしまった。この店がダメなんじゃなくてこのフロアがダメという意味。
年は70近そうなじいさんだ。おじいさまと呼ぶのがいいかな。ボケる気配を微塵も感じさせないおじいさまだった。
こういうおじいさまはお話が大好きだし、私も聞くのが大好きだから立ち話になる。
50年近くやってるんだって。
このおじいさまは海外旅行が趣味なそうで、中東、欧州いろんな国を回っているんだそうだ。
そのために毎日英語のテープを聞いて、覚えて、話す。証拠に分厚くなった手帳が出てきた。
英語のテキストのコピーが大量にのりづけされている。
汚いノートだったけど、とてもかっこいいのだ。
「経験しないと覚えられないんですね」とおじいさまは言う。
旅先で見てきたものは明確に覚えているらしく、スイスを旅した時の街の名前がスラスラ出てくる。
そして旅先でのレディファーストの失敗も笑い話として再生された。
いろいろ見て経験してきたおじいさまの笑顔は仏様のようだった。
写真が取れなくてとても残念です。


おじいさまは正直言って歳だ。しかしやりたいことに一生懸命な姿勢がとても素敵だった。
何よりこんな訳もわからん若者に対して謙虚にふるまってくれたのがありがたかった。
謙虚ってかっこいいなと思った。


余談。
私と話している途中にラジオのアンテナを探しに来た若い女性の方がいた。
じいさんは「アンテナはすり合わせがいるから製造元のアンテナがいい。実物があれば(合うのを)見てあげられるけど。」とアドバイスした。女性は「実物持ってきます」といって店を後にした。
この一連の流れがとってもカッコ良かった。この時代にラジオを直しても使おうとする女性の姿勢もいいと思う。
薄暗いほうの秋葉原は、自分にはとっても居心地のいい場所だった。
またいこう…