RAWイメージング。

実は全部JPEG撮って出し。

能登ツーリング。2012年版 【2日目・7/26】


初めてのテント泊。
夕御飯も食べてないし、風呂にも入っていない。
日中の暑さが応えて食欲は全くなかった。
フライをちゃんと張らなかったせいで潮風でなびいてシャカシャカうるさい。
蚊も血を求めてやってくる。中には入ってこないものの、羽音は近くに聞こえる。
まあ、こんなもんなんだろう。


夜うとうとしているとテントの周りをうろうろする足音が聞こえてきた。
人間の足音だ。怖い!
タバコを吸うという名目で外に出てみるとおじいちゃんがいた。
どうやら漁協のおじいさんらしく、邪魔にならないか訪ねてもウンとしか言わなかった。
そして見回りなのか、堤防の先に消えていった。
勝手にテント張ってすいません。

そんな感じで夜が明けた。
起床は3:50。天候は良好!

朝露でテントの端の荷物が濡れている。やっぱりフライは張ろう。


さあ、朝焼けを撮影して2日目の始まり!
適当に海岸を走っていると、「聖域の岬」とかいう看板を見つけた。いってみようぜ!

これ、パワースポットじゃない?なんか見たことがある。
岬に突き出した橋があって、その先端に不思議な力が集まると思われる。
exifをみると5:20くらい。どうりで誰もいないわけだ。早起きは三文の徳。
後に知ったのだが、、、、入場料が必要らしい(!)
どうやら御利益は受けられそうにない。。



海岸を走って見附島にいこう。
石川の人って皆早起き。
早朝にも関わらず営業している小さなガソリンスタンドで給油。
やはり前日に満タンにすべきですね。

軍艦島と呼ばれる見附島。正面から見た軍艦に見える。

遠くから眺めるだけにした。
あと、おやじのポケットから大人のキリンレモンがのぞいていておかしかった。

輪島の朝市はそろそろ始まるだろうか。
能登の出っ張りを縦断して昨日通った輪島へ向かう。
縦断にはちょっと細い山道を使いました。

輪島の朝市。

お祭りのように露店が並ぶ。写真は8:20。混雑は10:00あたりから始まる。
露店の奥さん、おばあちゃんが十字砲火で声をかけてくる。
忘れてはならない、干物を手に入れねば作戦は失敗である。
まずは奥まで歩いて、買い物は帰りにするのが正解。最初から買うのは素人らしい。
さらに値段はピン切りで、付けてくれるおまけも比較対象としては大事だ。
おまけは付ける前提で売っているようなので思い切り渋るのが良い。

この日は高校生の職業体験の日だったようで、奥さん、おばちゃん、高校球児、女子高生の壮絶な声かけ合戦になった。
人混みが苦手な私は人の少なそうなお店に逃げ込んだ。

天甚権兵衛商店。

雰囲気はなんとも飾りっけのないお店で、輪島塗の専門店。
専門店と言ったら語弊があるか。職人の店。
お店に入ったら、主人は番台でなぜか短パンを縫っている最中だった。

先に入った別のお店にて「食器の露店販売はあり得ない」という情報を得ていた。
輪島塗の食器は乾燥を嫌う。よって、ガラスケースに水差しが置いてあるお店こそが本物、とのこと。

ここ天甚さんにも、もちろん置いてある。
その作品(商品)の繊細さには驚いた。この目の前の優しそうなおじさん(親しみをこめてそう呼ばせていただきます)が作ったと思うと恐ろしい。

輪島塗はおよそ120工程にも及ぶ長い工程を経て作られるという。
これは重ね塗りの一回一回の工程も数えているよ、とのこと。

↑金を落としこむ溝を掘る彫刻刀。松の葉模様もこれらで掘られる。

椀を形づくり、布着せ(これが本物の証)、何十回と重ね塗りと乾燥を繰り返して装飾、最後に磨き。


↑掘る模様の転写紙。これをこすって下書きを写す。

布と何重にも重ねられた塗料の厚さで非常に頑丈。小傷にもつよいため、食器を激しく毎日使うホテル産業では重宝されたんだって。かつての熱海ではよく売れたとか。
120工程を1人の職人で作業するのではない。各工程にそれぞれ職人がいて、木の椀が街中を駆け巡って輪島塗は完成する。日本刀に似ている。

そうこうしていると、塗り師の別のおじさんが偶然やってきて話がはずむ。
漆は湿気のあるほうが乾くんだよ、とか丁稚奉公時代の話も聞いたかな。
その塗り師のおじさんはいかにも職人らしいガシっとした方でいろいろ不満も語り出した。まとめるとこう。


・最近の日本人はがさつ
なでしこジャパンはどこがなでしこなんだい?


いうことはバシっとしてても繊細な方でした。
この方の塗った盾が熊野本宮大社に納めてあるそうです。


ここ天甚さんのお店の奥には塗師蔵(ぬしぐら)があり、大昔の作業場を一般開放している。

乾燥を嫌う、そのための土蔵であり、蔵の扉はとても分厚い。


↑2007年の能登半島地震で土壁が崩落してしまった。
ろくろ、塗り台、法被、湿気を保つ押入れ(名不明)、行商時代のサンプル椀(実物、これらを背負って行商していた)、8畳くらいの薄暗い空間に歴史がぎっしり詰まっている。


床に落ちて固まってしまった漆も残っている。
きれいなお椀の裏の、大変な作業が見れて良かったと思う。


店主はこう言った。
「本当の輪島を見ていって欲しい」
プライドと自信と郷土愛が詰まったいい言葉。

干物と旅人へのお守りを買って、次は能登島に向かいます。
能登半島の舌ベロにあたるところが能登島
用はなかったけど橋があったら渡りたいじゃない。

あれです。

暑さのピーク。ジーパンがまとわりついて気持ち悪いし、停車中は気を失いそう。
海岸のきれいな青色だけが心の頼り。

能登半島の東側の海はとてもきれい。海底が見える透明さで、青のグラデーションも最高。
俺もがきんちょに交じって泳ぎたいよ!


能登島は小さいが水族館もある。でも今回は牛乳だけ頂いて次に進もう。
能登牛乳は薄かった記憶がある。記憶までうっすらだもの(笑)

司令官の命令はすべてこなした。あとは本命黒部渓谷!
昨日の失敗を生かして早めにステイ先を決めることにした。

グダグダ走ってガリガリ君を食べ、トロトロ通りかかった富山県の浜黒崎キャンプ場。
シーズンなのに客が全然いない。
なんと先客はアフリカツインに乗ったお兄さん一人だけだった。
こういう時は何かあるといけないので先に手を打っておく。
朝市でもらった「かわはぎの干物」片手にあいさつに行く。部族にあいさつに行く時も手土産で歓迎されるでしょ?
作戦は功を奏し、迎えられたようだ。
山梨の人だって。なんか遠くを見つめている不思議な人だった。

管理人に風呂屋の場所を聞いて行ったんだけど、場所を忘れてしまった。。。ロガーも切ってしまってわからん。
とにかく風呂上りはヘルメットの開口部が日焼けして痛かったことはよく覚えている。

例の人と夕日が沈むまで堤防で語って、明日のために旅手帳つけて寝ました。
それにしても暑さにはかなわんなぁ…

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