RAWイメージング。

実は全部JPEG撮って出し。

能登ツーリング。2012年版 【3日目・7/27】


昨日の夕方の話。
食事処も見つからなかったのでドラッグストアで魚肉ソーセージとかいろいろ買ってきて適当に食べた。
アフリカツインのお兄さんがコーヒーとお茶を差し入れてくれた。気を使わせてしまったかな。
私の目には無機質な感じの方に見え、そう描いたけどもちろん笑っていましたよ。


キャンプ場というのはよく眠れることが分かった。
翌日、5:30くらいに出発。
見送りまでしてくれた。お互い良い旅を!!

うっすらした朝もやで黄色く見える。なんだかうまくいきそうな予感。
いつのまにか恒例となったセメント工場。
今回は「明星セメント」。

蒸留塔も街並みからずば抜けてはみ出しているため、8号線を走っていれば気づかないはずがない。

新潟の海岸を走る8号線から148号線に乗り換え南下する。
ガソリンは町のうちに入れて起きたいところ。と、思ったら案外GSもあるではないか。

山を縫うように南へ、走りやすい道だ。少し気温が下がってきたかな?
長野県はやはり一味違う。凛としていて好き。山が「命を刈り取る形」をしている。恐ろしい。
もう8月なのにこんなにも雪が残るものだとは!

看板に言われるままに曲がって、白樺並木を抜けると扇沢駅に着く。
黒部ダムにはトローリーバスでしか行けない。
オートバイは隅に停めれるよ。

トローリーバスというのは電気式のバスで路面電車のように電気をもらって走るので排ガスが出ない。

乗り場の様子。往復2500円。四国のどこぞのロープウェイに比べたら安いものだ(まだ根に持っている)。
09:30出発。

プロジェクトXでもやっていた、トンネルの「破砕帯」をくぐる。バス内でも破砕帯通過時はアナウンスが流れる。
大町(現・関電)トンネルはもとは資材搬入用のトンネルで、このトンネル工事こそ最大の難所だったそうな。
切り立った黒部渓谷、立山連峰にダム建設資材を入れるのにトンネルは必至だった。
順調にトンネルを掘り進んでいると、大量の水があふれ出した。
山の断層に沿って岩石が砕け、大量の水を抱えた層、これが破砕帯。
掘れば掘るほど水はあふれ出し、土砂は崩れてくる。たしか館内のアナウンスで「水温4度」って言ってた気がする。やばい。
水抜きトンネルをたくさん掘ったうえで、薬剤とコンクリで崩れないように固めてしまうことでやっと突破することに成功するが、たった80mの破砕帯を超えるのに216日もかかったという。10日で抜ける予定だったのに!
こうしてトンネルは貫通し、夜もライトアップしてコンクリート打設を行い、7年かけて完成したものである。
殉職者171名、総工費は関西電力資本金の5倍!スケールが違いすぎて映画のよう。
そんな話をちょっと知っておくと、違って見えるでしょ?
その黒四ダムです。

元は谷だったところに186mのコンクリを打って川をせき止めてできた湖。信じられないよね。


観光放水。たぶんいつでもやってます。霧状にしてるのは滝壺がえぐれないようにするためらしい。

まるで要塞のよう。寒いかと思ったら、けっこう暑かったです。

地元の松田牛乳。丁度良かったかな。でもひるがの高須ファームのには敵わない!


当時のパネル写真。アルバムがあったら欲しいです。嫌な仕事もこれ眺めたら耐えられそう。


慰霊碑があります。日本人なら必ず拝んでいきましょう。


なんて素敵なところだ。仕事に行き詰ったら来よう。



黒部ダムの魅力は人間の手で成し遂げたところにあると思う。なせば成る、を実現したのだ。
今の仕事の悩みなんて大したことない。
もっと苦労してきた人がいるんだ。そう思おうと踏ん張りが効くのです。
私は黒部ダムを見て、調べて、仕事への姿勢を少し改めました。
辛いときは一年経った今でも黒部ダムを思い出します。
本当に行ってよかったです。

ただの観光地として見てはもったいない。

こうして黒部ダムを最後に、高山経由で「能登ツーリング、2012年」を終えたのでした。
干物はみんなに喜んでいただけたので作戦成功デス。



追伸、破砕帯の苦労話も美談ですが、「測量班」と「歩荷(ぼっか)」のことを忘れてはいけません。
垂直に切り立った崖に細い丸太の桟橋をかけてそこを輸送路にしていたのです。転落死も絶えなかったらしい。
見た写真では荷に加えてトラクターのタイヤを背負う人も。ほんとすごいなぁ。
さらに、その桟橋をかけた人も、ルートを作った人もすごいなぁ。偉人多すぎ!
D


追伸2、ちょっとダムに興味出てきた方は、吉村昭「高熱隧道」がおすすめです。
黒部第三発電所の建設をリアルに描いた小説で、最高160度に達する高熱の岩盤を掘り進む恐怖が良く書かれています。
挿せば自然爆発してしまう発破用のダイナマイト、トンネル内気温は50℃、厳冬期に宿舎に降りかかる災難、そして労使の心理戦。「発破用のダイナマイトが数本足りない!?」
大工事を成し遂げた監督を待ち受ける最後とは!?