RAWイメージング。

実は全部JPEG撮って出し。

白根三山縦走。【3日目 2014年8/14】

昨日とはうって変わって山の厳しい一面を見る。
稜線の風は絶え間なくテントをたたいて揺らす。
前室のペグが見当たらない。吹き飛ばされたようだ。
モンベル#3シュラフでも寒い。さすが3000mだ。
4:30でも暗く、霧につつまれている。
出発を遅らせよう。初めての道で霧、暗闇はこわい。
風が強いわりに周りのみんな特に驚いていない。
こういうものなんだろうか。

超絶雨。風も強い。

テントの撤収は上記のとおり。非常にストレスがたまる。畳もうとすると風が元に戻してしまう。
他人を観察する余裕もなく、とにかく撤収した。
6:00出発。

霧の道は他の登山者との道の譲りあいだ。
みんな自信がないんだな。

間ノ岳でとなりのテントだった青年に追いつかれる。互いに写メで到達を祝った。が、眺望は無し。
彼はぶっちぎりに速い。あっという間にいなくなった。

西農鳥まで着いた。もはやコースタイムなどどうでもよい。

ここから特にまっ白。風が強く雨が吹きつけるだけの山行。トレーニングと割り切った。
これまで楽しいことは一つも無し。
いや、ライチョウを見れた。そいつは頭が悪く、私の進行方向に逃げるので、追いかけっこになってしまった。
しかしクソかわいい。優しそうな鳥だなぁと思った。

そのまま歩き続けて、大門沢降下点から下山に入る。
ここで大きなミスを犯す。

道を間違えて沢を下ってしまったのだ。
富士山砂走り(イラストは誤字です)のように駆けて80mも下った。沢の頭は岩が細かくて歩きやすい。
そのうち岩が大きくなってきて踏み跡が消える。我に返ると背後には礫の壁が。誤降下点は点に見える。
迷った挙句、引き返す。が、大きな礫はさながら蟻地獄のよう。崩れてうまく登れない。
心拍数が一気に上がる。
「ヤバイ」この単語しか浮かばない。
脇のハイ松をつかんでどうにか登る。めちゃくちゃ疲れる。
なんとか登りきってよく見ると、対岸(本来のルート)には白テープがぶら下がっていた。
自分の薄っぺらい登山史においては大事件。
道間違えからの遭難一歩手前である。親に話すつもりはない。

冷静になってからよく分析すると、いろんな要因がある。
1.予定時間からはずれていないが、リードタイムもなかったので若干焦っていた。
2.雨でどうでもよい気分になっていた。
3.下山の膝の痛みで、早く降りることばかり考えていた。
4.2・3のせいで下ばっかり見ていた。偽の踏み跡を見分けられなった。
5.テン場で、「富士山みたいな下りはきつい」と聞いていたので、誤解して決め付けた。長さのことだったようだ。
6.対岸の白テープが葉っぱに隠れていたため見逃した。
6.要所で地図は見るようにしていたが、1/50000ではこの沢は読み取れなかった。今でもはっきりわからない。
しかしもう少し地図から地形が読み取れれば防げた気がする。

とにかく当時を思い出すと焦りがあったように思う。
脱出した後、今度は膝痛が激しくなってストックを使わないと歩けなくなった。

絶望的な気持ちだ。大門沢小屋までたどり着かなかったら、このびちゃびちゃぬるぬるのところにテントを張らねばならない。そんな気持ちでなんとか大門沢に到着したのが13:30。意外と余裕があるんだけど、とにかく焦っていた。

後味の悪い、3日目の縦走になった。

4日目に続く…